日本全体への影響

 富士山からは離れた地域に住んでいる人にとって、富士山噴火の被害を想像するのは難しいかも知れませんね。ですが、溶岩や土石流、降灰が内地域であっても、大規模な富士山噴火が起これば日本中にその影響が出てきます。例えば、経済損失です。宝永大噴火レベルの噴火があった場合、その経済損失は10兆円を超えるといわれています。ちなみに東日本大震災での経済損失は、20兆円、阪神・淡路大震災は10兆円です。ですが、10兆円というのは、最悪のシナリオではないのです。富士山噴火に前後して大規模な地震が起これば短期間に経済損失が集中します。また、自衛隊が被災地に集まるようなことがあれば、外国からの侵略リスクもゼロではありませんし、厚木基地に被害が出れば国際情勢に影響がでることもあるのです。もちろん首都機能が失われれば、政治経済、ともに麻痺してしまいますから、米軍の動向によって周辺の核保有国に動きがあってもおかしくはないのです。最近首都機能移転論が激しくなっているのは、富士山噴火に伴うリスクもその原因のひとつになっています。
 また、降灰が広範囲になれば、農作物への影響も大きくなりますし、離れた場所に住んでいても、食料品の値上げなどが起こりえますし、東日本大震災のように復興特別税が課税されることになるかもしれません。為替レートに大きく影響が出て、輸出入を主とする企業でも影響がありそうですね。最悪の事態を考えればきりがなく、日本という国そのものを揺るがすほど、大きな影響も有り得るのです。