富士山噴火でできた樹海

 貞観大噴火で流れ出した溶岩は、植物を焼き尽くしました。ですがもちろん、自然はそのままではありません。たくましく、姿を変えて大きな森を作り出します。貞観大噴火で流れ出した溶岩の上に、長い年月をかけて作り出されたのが、青木ヶ原樹海なのです。青木ヶ原樹海の大きさは、東京ドーム800個分ほど、山の手線でぐるっと一周した面積くらいです。かなり大きいことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
 富士山の北西に位置する青木ヶ原樹海は、森の奥に入れば昼間でも薄暗く、溶岩の上にできたため、栄養分や水分が少ない土壌です。そのため常緑針葉樹林が多く、年間を通して緑のままなことから、樹海と名づけられたそうです。
 青木ヶ原樹海に入ると、コンパスが狂ってしまい、抜け出せなくなる、こんな話を聞いたことはないでしょうか。青木ヶ原樹海の土壌は、鉄分を多く含んだ溶岩のため、確かに鉄分が多い場所ではコンパスが狂います。ですが、大きく磁力を狂わせるほどの鉄分がある場所はほんの一握りで、ほとんどの場所では、せいぜい1・2度程度狂う程度なのだそうです。また、最近では携帯電話の基地局も増え、携帯もかなり繋がりやすく、青木ヶ原樹海に入ったら二度と出られない、なんてことはほとんどありません。もちろん樹木が続く、似たような光景が続いているために甘く見てしまえば危険はありますが、きちんとコンパスや携帯を準備し装備を整えれば、樹海探索も楽しむことができます。心配であれば、遊歩道だけでも十分に青木ヶ原樹海の自然を楽しむことはできます。「自殺の名所」などという、不名誉な称号も持っていますが、青木ヶ原樹海は関東の貴重な原生林です。