富士山の噴火予測

 富士山は、マグマが溜まっている以上いつかは噴火する、そう考えるのが自然です。問題は、その富士山噴火がどんなタイプの、どんな規模の噴火なのかということ、そしていつなのかということです。
 最近は富士山噴火の研究が進み、富士山噴火はかなりの高確率で予測可能だと言われています。実は、地震予測などに比べて噴火予告は比較的たやすく、また高精度なのです。
 例えば、火山の噴火には多くの予兆が現れます。ほとんどの火山は、噴火の前に、震源の浅い火山性地震が発生し、噴火が間近になればその回数も増えていきます。火口付近の隆起や、火山性微動の発生、地磁気の変化、火山の地下では電気抵抗が急激に減少することもあります。富士山の地下水は、温度が一定なことでも有名ですが、地下水の温度が上昇したり、ガスの成分が変わることもあります。火山の噴火では多くの予兆が現れるため、噴火してからでは逃げられない地域に住んでいる人でも避難は間に合うだろうといわれていますし、噴火の予兆があれば、当然入山が禁じられるでしょうから、登山中にいきなり噴火、なんてこともまずないそうです。北海道の有珠山などは、噴火予知に成功した例です。有珠山最後の噴火は、今のところ2000年の3月31日です。このときは、3月27日の時点で、近日中の噴火が予測され、3月29日にはら緊急火山情報の発令、危険区域に住んでいる人たち1万人あまりの避難が、噴火前に完了していました。富士山噴火の場合はもっと大規模な避難になりますが、有珠山噴火のように数日の余裕があれば、危険な規模の噴火であっても避難は間に合うだろうと思われます。ただ、噴火予測は予兆が実際にあっても必ず噴火するとは限りません。実際、予知したものの噴火には至らず、火山活動そのものも低下していくことがあります。噴火予測が出ても、必ず噴火するとは限らないのです。もちろん外れても、噴火しないといわれていて噴火するのに比べればずっとましですよね。