富士山噴火の地震の関係

 地震と噴火に、何か因果関係はあるのか。誰もが気になるところではないでしょうか。実際、貞観大噴火の5年後には、貞観大地震があり、宝永大噴火は宝永地震の49日後に発生しています。そしてもちろんどちらの噴火も、噴火当時は巨大地震とまでは行かなくても数多くの有感地震があったことがわかっています。
 最近、東日本大震災という大きな地震を経験した日本の状態は、実は宝永地震のときに状況が似ているといわれています。宝永地震の場合は、49日後に大きな噴火が起きていますので、似ているとは言っても状況は異なります。
 もちろん地震の中にはマグマの移動などが原因となる火山性の地震も多いのですが、日本でおこる地震の多くはプレートに起因するものです。今のところ、富士山の噴火と、その前後に起きた火山性の地震を除く地震に因果関係があるのかどうかは分かっていません。
 といっても、富士山には多量のマグマ溜まりがあり、宝永大噴火以降300年間圧力がかかり続けています。今心配されているのは、先の東日本大震災のあとに静岡県で起きた地震の影響で、富士山のマグマ溜まりにかかっている圧力に変化があったということです。もしも富士山のマグマ溜まりに亀裂でも生じれば、一気にマグマが噴出しても不思議ではないと言われています。ただ、圧力の変化があってもいまだ噴火に至っていないのは、まだ噴火するだけのマグマやガスの量ではないからだと考えられています。平安時代に何度も富士山噴火が起こった後、大きな噴火があったのは800年以上後の宝永大噴火です。もちろん、その800年の間にも大きな地震は幾度かありました。11世紀には、東海・東南海地震である永長地震、南海地震である康和地震と、どちらもマグニチュード8を超える大きな地震でした。1923年(大正12年)に起きた関東大震災も、富士山に影響を与える場所で起きた大きな地震です。必ずしも、地震と噴火がセットになるとは言い切れないのですが、先のことを考えるのならやはり、いつ噴火してもおかしくはないのだと意識し続け、備えておく必要があります。