富士山噴火が作った自然

 富士山レーダーは、1964年に設置され、1999年まで運用された気象レーダーです。日本一高い、標高3,776の富士山山頂であれば、日本全国、レーダーを遮る障害物がなかったのです。また、富士山の位置も日本のへそともいえる位置ですから、この富士山レーダーは長い間、台風から日本を守る、大切な役目を担っていました。自然が作り出した地形が、自然災害から日本を守るために利用されてきたのです。
 富士山の噴火がもたらすものは、災害とその被害だけではありません。富士山の美しい稜線は、富士山が火山だからこそできたもの。成層火山である富士山は、長い年月をかけて今の高さ・形になりました。富士山レーダーのような実用的な用途としてだけではなく、その「富士山」という山は、数多くの浮世絵のなかに描かれていることからも分かるように、日本にとってシンボル的な存在です。長い間恐れとともに、愛され続けてもきたのです。
 日本のシンボルのひとつである富士山そのものが、噴火で作られた自然です。そして富士山噴火は、もちろん富士山を作り出しただけではなく、様々な自然環境を作り出し、今の私達の生活を支えたり、美しい自然で心を和ませたりしてくれています。例えば、富士山噴火でできた樹海、富士山噴火でできた富士五湖、また豊富な水源は富士山噴火のおかげともいえるものです。富士山噴火が作り出した自然について、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。