富士山噴火でできた富士五湖

 富士五湖は、本栖湖、精進湖、西湖、河口湖、山中湖で、五湖すべてが世界文化遺産に登録されています。
 先ほど、富士山噴火の歴史でも紹介したとおり、貞観大噴火での、溶岩の噴出が、富士五湖を作り出しました。貞観大噴の前、富士山周辺にあった4つの湖のうち、最も大きな湖の大部分が溶岩で埋まり、精進湖と西湖という二つの湖に作り変えました。また本栖湖も溶岩が流れ込み、小さなサイズに変わってしまったのです。
この富士五湖という名前が付けられたのは、実は最近のことです。命名したのは富士急の創設者である、堀内良平氏で、昭和に入ってからのことでした。
本栖湖は、オウム真理教事件で有名になった旧上九一色村にあり、ウィンドサーフィンのメッカです。シュノーケリングやカヌーも楽しめる、体験型のレジャーが楽しめる、人気の湖。
精進湖は、富士五湖の中で最も小さいのが精進湖で、富士箱根伊豆国立公園の特別地域内にある自然を楽しめる湖です。精進湖北側から見る富士山は、最も富士が美しく見える場所としても有名です。その他、精進湖にはこんなエピソードもあります。国道358号線と国道139号線が繋がる場所なのですが、国道139号は武田信玄が重要視していた道です。ここを通るルートで、塩を仕入れていたのです。「敵に塩を送る」ということわざがありますが、この道がそのことわざを作りました。今川氏にこの塩ルートを止められてしまいます。塩がなく苦しんでいる武田信玄と領民を見た上杉謙信は、敵であってもその苦しみを見過ごせずに塩を送ったのです。
西湖は富士五湖の中で、最も開発されていない自然のままの地域。絶滅種とされたクニマスが再発見された湖としても有名です。西湖にはもともと魚が棲んではいませんでしたが、漁業を目的とする放流が行われ、今もヒメマス釣りが盛んな場所です。そして昭和10年、秋田県から送られたクニマスの受精卵を孵化放流し、クニマスも生息するようになったと言われています。ですがその後、秋田県の田沢湖では水質の悪化によってクニマスが絶滅してしまいます。そこで2010年、放流先である西湖を調査した結果、クニマスが見つかったのです。
河口湖は、富士五湖中で最も長い湖岸線があり(大きさは2番目)、富士五湖の中では最も標高が低い位置にあります。このため、観光地化が最も早く始まり、行きやすい湖でもあります。現在は温泉も掘削されていて、子供だけでなく大人も楽しめる観光地といえます。ロープウェイや漕艇場、キャンプ場もありますよ。この河口湖、実はバス釣りのメッカ。もともと河口湖にはワカサギが放流(在来魚ではありません)されていたのですが、一時期ワカサギが大幅に減少したことがありました。それがブラックバスの食外ではないかと問題になったのですが、実はバスとワカサギは活動範囲(水位)が異なります。ワカサギの減少は、水質の悪化が原因だったことがわかり、水質改善を試みた結果、ワカサギも元のように増え、現在は共棲しています。安心してバス釣りを楽しんでくださいね。
山中湖は、富士五湖の中で最大の面積を持っていて、周囲長は約14キロメートル、山中湖村のほぼ中央に位置します。また、天然の流出河川を持ち、相模川の源流でもあります。波が穏やかで水深が浅いことから氷結しやすく、冬にはワカサギの穴釣りが有名です。そしてこの山中湖は、マリモの分布南限。ちなみにフジマリモは、山中湖だけでなく河口湖・西湖・精進湖でも生息が確認されています。そのため、今では本栖湖にも生息しているのではないかと期待されています。