豊富な水源は富士山噴火のおかげ

 富士山の降水量(降雪も含みます)は1日約600万トンもの量があるといわれていて、そのうち約450万トンが地下に流れ込むといわれています。地下に流れ込んだ水は伏流水となり、山麓まで流れ着いて湧水となります。
 富士山の地下水は、不純物が少なく質が高い、そして温度も一定と使いやすく、飲料水としてだけではなく、農業や工業用の水としても長年利用されてきました。そして、富士山の地下水は、動植物にももちろんその命を守る大切な資源。富士山からの地下水は、一日に100万トンを超える量。もちろんこれは、貴重な水資源で、40万人の飲料水として活用されています。
富士山の雪解け水は地下の溶岩の間で長い年月をかけてろ過され、湧水となります。水質が良いため、最近はウォーターサーバー用の水として、富士山の湧き水が日本全国で飲まれるようになってきていますね。湧き水として有名なのは、忍野八海、湧玉池、柿田川湧水などです。忍野八海は山梨県忍野村にある湧泉群。この湧き水は、山中湖が水源になっている相模川水系に合流しています。浅間大社の境内にある湧玉池は、玉のように水が湧き出し、天然記念物にもなっています。毎日約20万トンもの水が湧き出していて、富士宮市内を流れる神田川の水源。昔は、富士登山前の禊ぎの場として利用されていきました。柿田川湧水は清流としても有名ですね。静岡県駿東郡清水町を流れる柿田川の水は、ほぼこの湧き水からのものです。静岡県三島市にある、楽寿園内にある小浜池も、富士山の湧き水のひとつ。その他、蓮沼川と源兵衛川の起点ですが、水量が安定せず、付近の地下水くみ上げが原因ではないかと言われています。静岡県富士宮市にある、白糸の滝も有名ですね。これは上流に川から流れる滝と、富士山の雪解け水が湧き出す滝が並んでいて、一目見ればわかりますが、崖から、まるで糸をたらしたように水が流れ出ている絶景です。白糸の滝と名の付けられた滝は数多くありますが、その中でもここ、富士宮市の白糸の滝が最もスケールが大きく水量も豊富。毎秒1.5トンもの水が流れ出しているそうです。富士山の噴火は、恐ろしいだけでなく、人間に豊かな自然の恵みを与えてくれるものでもあったのです。